「マウスの高精度入力を有効化」の仕組みを解説-フリック時のズレを減らす仕様、8000Hzマウスでは負荷に注意
Overwatchの設定項目にある「マウスの高精度入力を有効化」(High Precision Mouse Input)について、開発者が公式フォーラムで詳細な仕組みを解説しています。フリックショットの精度に関わる重要な設定でありながら、その効果を正確に理解しているプレイヤーは意外と少ない項目です。
内容まとめ
- 通常はティック間(16ms間隔)の照準位置でしか射撃できない
- 有効化するとティックの合間のマウス入力位置からも射撃可能に
- フリックショット時の狙いとのズレが軽減される
- 高ポーリングレートのマウスほどCPU負荷が増大
- 効果があるのはクリックの押下・離す瞬間のみ、押しっぱなしの武器には影響なし
通常時の射撃処理
Overwatchは16ミリ秒ごと(62.5Hz)にシミュレーション(ティック)を行っています。各ティックでは、前回のティック以降にマウスから受け取った入力をもとに照準方向を更新し、射撃入力があればその方向へ弾を発射する仕組みです。
これはFPSにおける一般的な処理方法ですが、問題は現代のゲーミングマウスのポーリングレートが1000Hz以上に達している点です。1000Hzの場合、ゲームの1ティック(16ms)の間に最大16回もの独立したマウス移動データが送られてくることになります。
つまり通常設定では、その16回分の細かな照準位置のうち、ティックのタイミングと一致した1点でしか射撃できていないということです。
フリック操作のシミュレーション
マウスの高精度入力OFFの場合のシュミレーション(白線)
高精度入力を有効化すると
この設定を有効にすると、ティックとティックの合間に受け取った、すべてのマウス入力位置から射撃できるようになります。開発者の説明では、16ms間隔の照準方向を白線、1000Hzのマウス入力ごとの照準方向を赤線として図示しており、高精度入力ではこの赤線のどこからでも弾が飛ぶようになると解説されています。
結果として、描画フレームの合間のタイミングでも射撃が可能になります。高速なフリックショットで「確実に当てたはずなのに外れた」という現象の軽減が期待できる設定です。
マウスの高精度入力ON×1000Hzの場合のシュミレーション(赤線)
8000Hzマウスでは負荷に注意
開発者は「わずかなCPU負荷が発生する」と説明していますが、これは1000Hzが主流だった2019年時点での話です。近年主流になりつつある4000Hz・8000Hzのマウスでは、処理すべき入力データが8倍に膨れ上がるため、CPU負荷が無視できないレベルになるケースが報告されています。
フレームレートの低下やスタッターを感じる場合は、ポーリングレートを下げるか、高精度入力をオフにすることで改善する可能性があります。
その他の仕様
- 視点操作の感触は変わらない - 描画される視点は元々すべての生入力を反映しているため、エイムのフィーリング自体に変化はない
- 効果はクリックの瞬間のみ - サブフレーム照準が働くのはメイン攻撃・サブ攻撃のボタンを押した瞬間と離した瞬間のみ
- ビーム系武器には無関係 - メイン攻撃を押しっぱなしにするトラッキング型武器の挙動は一切変わらない
どのヒーローで効果があるか
仕様上、恩恵を受けやすいのは単発クリックで撃つヒーローです。ウィドウメイカー、アッシュ、キャスディ、ソジョーンのレールガンといった、1発の精度が重要なヒットスキャン系のDPSでは、フリックショットの命中率向上が見込めます。
一方、ザリアやシンメトラ、モイラといったビーム系ヒーローや、押しっぱなしで連射する武器を使う場合には、この設定による変化はありません。PCスペックとマウスのポーリングレートを踏まえて、自分の環境に合った設定を選ぶのが良さそうです。
