週刊99Dアカデミー:第1回 —タンクの極意『空間支配』とは

OWCS JAPANでも活躍した99DIVINEが、日本のオーバーウォッチ界をさらに盛り上げるための育成プロジェクト「99DIVINEアカデミー」を開校準備中!

その開校記念企画として、おばにゅー × 99DIVINEのタイアップによる連載企画「週刊99Dアカデミー」をスタートします。(“週刊”とはいえ、毎週出せるかは…がんばります!)

今回は、実際に99DIVINE ACADEMYの講師を務め、Lazuli・PNHB・99DIVINEでもコーチとして活躍したGyominコーチによる「タンク解説編」。

先日行われたOWCS JAPANグランドファイナル「VARREL vs REJECT戦」を題材に、タンクの立ち回りをわかりやすく解説してもらいました。


🧭 この記事の内容
🧱 1. タンクとは ― チームの“要”
🌍 2. タンクの核心 ― 「スペースを作ること」
🦍 3. ウィンストンで学ぶ「スペースの作り方」
🧠 4. 実戦解説① ― 「スペースを維持する」判断
💥 5. 実戦解説② ― 「スペースを再確保する」動き
🧩 6. 実戦解説③ ― 「ジャンプしない勇気」
🧾 7. 戦闘の流れ整理(3フェーズ)
✅ 8. まとめ ― 理想のタンク像

今日はオーバーウォッチのタンクについて学びましょう

タンクは、単に体力が多いヒーローではありません。

チームの位置を確保し、前線を作り、戦闘の流れを導く――まさにチームの“要”となる存在です。

タンクの基本的な役割

昔は「メインタンク」と「サブタンク」に分けられていましたが、最近ではその区別がほとんど意味をなさなくなってきています。

重要なのは、状況に応じてさまざまな役割をこなせることです。

つまり、どのタンクもチームのために“必要なこと”を柔軟にできる必要があります。

タンクの核心 ― 「スペースを作ること」

タンクにとって最も大切なのは、スペース(空間)を作る力です。

「スペースを作る」とはつまり、敵が簡単に攻め込めないようにしたり、

味方が安全にダメージを与えられるようにポジションを確保することを指します。

タンクは自分の体を使ってチームの安全地帯を広げる存在です。

前に出て敵の視線を引きつけ、有利な位置を占領した瞬間――あなたはすでに“スペースを作った”ことになります。

どうやってスペースを作るのか?

スペースはタンク一人の力では生まれません。

自分の動きとチームのサポートが噛み合って初めて成立します。

タンクが一歩前に出るたびに、チームが使えるエリアが広がります。

しかし同時に、味方の位置やヒーラーの回復範囲を意識することも大事です。

無計画に突っ込むと、スペースではなく「孤立した死地」になってしまいます。

🦍 例:ウィンストンでスペースを作る

ウィンストンは「ジャンプパック」で直接スペースを“取りに行ける”代表的なタンクです。

ですが、味方がついてこられない場所へ一人で飛び込んでしまうと、チームの支援が届かず、ただの自滅になります。

そんな時は――焦らず、壁を使いながら圧をかけましょう。

ウィンストンは存在そのものがプレッシャーです。

チャージショット(右クリック)で敵を牽制しつつ、味方の位置を確認。

味方が前に出る準備ができたら、敵のDPS付近や壁際へジャンプ!→ バリアを展開 → 味方が安全にラインを上げられるようサポートします。

こうすることで、ウィンストン一人が無理に飛び込まなくても、チーム全体で前線を広げ、自然にスペースを確保できるのです。

まとめ

タンクはチームの中心であり、戦闘のリーダーです。

「スペースを作る」とは、自分の体を使って味方の安全地帯を広げること。

ただし、無計画に突っ込むのではなく、 常に味方の位置とヒーラーの回復範囲を意識することが大切です。

ウィンストンのように機動力のあるタンクであっても、チームが追いつけるタイミングを見極めることが重要です。

タンクの一歩が、チーム全体の生存スペースを決めます。

実際の試合から学ぶタンクの立ち回り①

🦍 この場面のKSGウィンストンは「スペースを作る」ではなく、「スペースを維持する」段階にいます。

タンクは常に前に出てスペースを広げるだけが仕事ではありません。

チームがまだ準備できていない時は、既に確保したスペースを守ることも重要な役割です。

この場面のプレイは、

・「敵の進行を遅らせる」
・「味方の立て直し(リグループ)のタイミングを待つ」

という、非常に安定した判断です。

味方サポートの交代直後 ― チームがまだ整っていない状況

この時、味方のサポート(ヒーラー)がキャラを変更した直後で、まだチーム全体の体制が整っていません。

そのため、KSG選手は無理に攻撃ジャンプを仕掛けず、自分がいた高台の後方に少し下がる判断をしています。

これは単なる「後退」ではなく、一時的にスペースを譲り、チームの再編成時間を稼ぐプレイです。

①スペースを「維持」しながら「調整」する段階

直前まではウィンストンが前線視野を確保し、 敵の動きを見ながらテスラキャノンで圧力をかけていました。

しかし、敵が人数有利をもとに一気に前進してきたため、「この位置を守り続けるのは危険」と判断。 → 安全に後退。

これはタンクとしての「スペース調整力」を見せたシーンです。

「今、自分はこの位置を守りきれるか?」
「味方は自分をサポートできる位置にいるか?」

この2つを常に確認し、どちらも厳しいと感じたら、すぐにラインを一段下げるのが正解です。

味方のリスポーン&合流タイミングを考慮

サポートが交代中だったため、ヒールが届かない時間帯が発生していました。

このタイミングで戦闘を始めてしまうと、タンクがすぐにフォーカスされて落ちるリスクが非常に高くなります。

だからこそ、ウィンストンは戦闘を「仕掛けない選択」を取ったのです。

良いタンクは戦闘のタイミングを「作る人」であると同時に、「戦うべきでない時に、戦わない判断ができる人」でもあります。

🦍この場面は、先ほどの「一時的にスペースを譲って再整備した後」、再びスペースを再確保する段階です。

ここでは、KSG選手のウィンストンが主導して「サイドから圧力をかけ、スペースを作る」という、まさに教科書のようなプレイを見せています。

状況の整理

前のシーンで後退 → チームの再編が完了。(SLEY選手のウーヤンへの交代も終わり、ヒール体制が整う)

・KSG(ウィンストン):中央に少し前進し、視野を確保

・敵ウィンストン(Kalios):中央庭園前で待機、両者が睨み合い

・TOPDRAGON(トレーサー):右サイドでプレッシャーをかける

そのタイミングで、KSGは左サイド(敵から見て右側)にジャンプ。

→ EDISON(トレーサー)+ YDOT(ウーヤン)+ EPIC(キリコ)の位置へ強く圧をかける。

SLEY(ウーヤン)も即座に追従し、ヒール支援。

これにより、タンクとヒーラーが同時にサイドラインを突く構図が完成しました。

このシーンの良いポイント

1. KSGウィンストンが“最初の戦闘タイミング”を自ら作り出した

敵に攻め込まれる前に、サイドを先に押すことで「味方が安全に使えるスペース」を拡張しました。

2. SLEY(ウーヤン)の完璧なシンクロヒール

サイドダイブはヒールが遅れると非常に危険ですが、この場面ではヒールタイミングが完璧に合い、安全にスペースを確保することに成功。

まとめ:理想的な「第1ターン」のスペース運用

KSGは「安全に後退 → 味方の合流を待つ → サイドダイブでスペース再確保」という、理論的に最も美しい第1ターンの展開を見せました。

これこそが、オーバーウォッチのタンクが“スペースを作る”実戦例です。

さらにこの後、KSGウィンストンは 味方トレーサー(TOPDRAGON)が裏でプレッシャーをかけているのを確認し、中央の高台からゆっくりと前進しながらラインを維持。

その結果、敵ウィンストン(Kalios)は後方にジャンプして退避し、 敵チームのラインが分断。

ブルーチームは安全に中央視野を確保できました。

ジャンプやキルを取らずとも、「存在感」だけで空間を作り出す――それが本当のタンクの役割です。

実際の試合から学ぶタンクの立ち回り②

ブルーチーム(VARREL)

・KSG(ウィンストン):中央ラインを確保し、味方が左右に広がって視野を取っている。

・レッドチーム(RELECT):Kalios(ウィンストン) が突入し、SLEY(ウーヤン)を狙ってダイブ。

しかし、KSGはジャンプを使わず、その場でポジションをキープして対応。

結果的に、敵ウィンストンはヒールラインが切れ、サポートからの支援を受けられずに倒される。

ブルーチームはスペースを完全に確保し、第1拠点の最初のチームファイトを勝利に導きました。

詳細分析

① 敵ウィンストンの突入(Kalios)
Kaliosはおそらく「敵が分断された」と判断して飛び込んだのでしょう。

しかし実際には、KSGが中央ラインをしっかり押さえており、SLEY(ウーヤン)はすぐにヒール射線を確保できる位置にいました。

② KSGの判断 ― 「ジャンプしない」
多くの初心者ウィンストンは、敵がダイブしてくると“合わせてジャンプ”しがちです。

ですが、KSGは冷静にその場を守り、敵ウィンストンが入ってくるヒール射線をブロックする位置を維持。

これは非常に重要です。

タンクの本質は「ジャンプして戦うこと」ではなく、味方が安全にヒールとダメージを出せるスペースを守ることにあります。

③ 結果 ― 敵タンクの孤立
・Kaliosはジャンプ後、すぐにヒール射線が切れる

・味方サポート(EPIC・YDOT)はライン分断で支援不能

・結果:リソースを受け取れず、孤立 → デス

KSGはジャンプを一度も使わずに、存在感だけで敵を倒したのです。

戦闘の流れの整理

① 序盤 ― スペース作り(スペース・クリエイト)

・NICO(シンメトラ) のテレポーターで素早く中央(拠点入口)を先取り

・KSG(ウィンストン) が中央の柱前に立ち、味方サポートが安全にヒールできるエリアを確保

・TOPDRAGON(トレーサー) がサイドから回り込み、敵の視線を引く

この段階がまさに「スペースを作る段階」。

タンクが体で敵の視野を遮り、DPSが回り込むことでスペースを広げます。

② スペース拡張(スペース・エクスパンション)

トレーサーが裏を取ることで、敵ウィンストン(Kalios)は背後を意識しジャンプで離脱。

それを確認したKSGは一歩前進し、中央〜右壁付近まで圧をかけます。

これが「スペースを食う(スペースを取る)」動きです。

敵の動きを制限し、味方が自由に位置を取れるようにします。

③ スペース維持 & 罰(スペース・メンテナンス&パニッシュ)

敵ウィンストンがジャンプでSLEY(ウーヤン)を狙って突入。

しかしKSGはジャンプで追わず、自分のポジションを維持しながら敵の前進をブロック。

その結果、味方ヒーラーたちはヒール射線を確保し続け、敵ウィンストンは回復を受けられず孤立して倒されました。

俯瞰で見る一連のプレイ

核心ポイント

タンクは“常に戦う”必要はありません。

本当の役割は、味方が安全にヒールし、ダメージを出せるスペースを守り抜くこと。

KSGウィンストンのプレイは、その“理想的なタンクの本質”を完璧に体現しています。


管理人
序盤のたった1プレイにもこれほど多くの思考が隠されていたのか…

管理人
本質はスペースの確保と維持で、タンクは“常に戦う”必要はないって部分に関しては自分含め実践できてる人少ないかもね、意識してプレイしてみよう

管理人
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