「NEON JUNCTION」AMA回答まとめ——開発陣が語るマップの隠しネタと制作秘話
公式サブレディットで開催された「NEON JUNCTION」のAMAで開発陣が答えた内容をまとめます。
回答者はリード・レベル・デザイナーのRyan Smith、アソシエート・アート・ディレクターのPeter C. Lee、ワールドビルディング・プロデューサーのRen Soanes、シニア・コンセプト・アーティストのAndrew Menjivar、シニア・アート・スーパーバイザーのPhil Wangの5名です。
マップに隠されたストーリー要素
・第3チェックポイントの「瑞光座」はハシモト組が運営に関わる歌舞伎劇場。現在上演中の劇は「兄弟相剋譚」
・ストーリー上の重要な局面の舞台となったマップは今後随時アップデート予定。ウィンストンのジブラルタル再建も近々描かれるかもしれない
知られざる隠しネタ
・防衛側リスポーン地点の般若のお面の上に、鬼(ハシモト組)が龍(シマダ一族)に刀を突き立てる壁画がある
・「Pylon」の赤いビル2階にファッションブティック「AW」がある
・攻撃側前方リスポーン裏の「Spectral Systems」という電気屋はヨーカイの活動拠点。表にキリコのバイクが停まっており、狐のグラフィティも描かれている
・防衛側前方リスポーン付近の鍛冶場はキリコの父の工房で、動物の魂を込めた武器を作っていた頃の様子が伺える
・「Spectral Systems」内にはノブトが描いたミズキの「快気の笠」とハンゾーのミシック武器「トーキョー・リベリオン」の設計図がある
インスピレーションと世界観
・当初はサイバーパンクがコンセプト案として挙がったが、退廃的な世界観がOWの理想的な未来観と相反するため採用せず
・「シティ・ポップ」を軸に、70〜90年代の日本のハイテクブームを彷彿とさせる未来の東京をイメージ
・「HANAMURA」が京都の伝統美を表現しているのに対し、本マップは現代的で活気ある東京を対比として描いた
・東京を舞台にすることでハシモト組とシマダ一族の対立を描くのに適した舞台になった
マップ・デザインについて
・チョーク・ポイントは初代OWより広めに設計する方針に変化しているが、東京らしい狭いチョーク・ポイントも継続して採用
・3レーン構造にはこだわらず、プレイヤーが敵の視界に入るタイミングと流れを重視した設計
・7月1日のアップデートでペイロード進行速度を微調整済み。今後も地形調整を予定している
マップ内のギミックについて
・ハチの巣にダメージを与えると自分がダメージを受けるギミックで倒された際のキルアイコンに、かわいいハチのアイコンを近日追加予定
1週間を振り返る:「NEON JUNCTION」AMA回答まとめ
Blizzard Entertainment | 2026年7月29日
皆さん、お元気ですか?先日「オーバーウォッチ」公式サブレディットにて、開発陣が最新マップ「NEON JUNCTION」に関するコミュニティの疑問にお答えするAMAを開催しました。この記事では、そこでお答えした内容をピックアップしてお届けします。
なお今回の回答者は、開発を指揮したリード・レベル・デザイナーのRyan Smithとアソシエート・アート・ディレクターのPeter C. Leeのほか、ワールドビルディング・プロデューサーのRen Soanes、シニア・コンセプト・アーティストのAndrew Menjivar、シニア・アート・スーパーバイザーのPhil Wangでお送りします。
気になる疑問がある方は、ぜひ続きをお読みください。AMAの全容についてはこちらからご覧いただけます。それでは、どうぞお楽しみください!
マップに隠されたストーリー要素について
「JUNKERTOWN」のペイロードに金貨が積まれている理由がジャンクラットのストーリーに関係しているように、このマップの背景にも何かストーリーが隠されているんですか?
Andrew:ヒントは、敏郎の鍛冶場にあるタンクと、歌舞伎劇場に近づくペイロードです。その色にご注目ください。
第3チェックポイントの背景にあるストーリーは?
Ren:「瑞光座」はとある不穏な組織が運営に携わっている歌舞伎劇場で、現在「兄弟相剋譚」という劇を上演しています。劇場の裏側に潜入すると、何者かのオフィスに繋がるロビーが…おそらくここで繰り広げられる戦いは、そんな場所の正面玄関から派手な山車を堂々と運び込もうとしていることが原因なのかもしれません。
今年発表されるストーリー展開を「WATCHPOINT: GIBRALTAR」のような既存マップに反映させる予定はありますか?
Ren:Team 4は今年、ストーリーを特に重視してきました。そのため、ストーリー上で重要な局面の舞台となったマップは、大小の規模の差はあれど随時アップデートしていく予定です。次回のアップデートは皆さんの想像より早く訪れるかもしれませんし、ウィンストンもようやくジブラルタル再建に着手できるかもしれません。
ゲームスピードの速さゆえにプレイヤーの多くが気づけていないような「NEON JUNCTION」の隠しネタがあれば教えてください
Peter:たくさん仕込んだのですが、皆さんならすでに気づいているものもあるのではないでしょうか?わかりやすいものは除いて、思いつく限りを挙げてみます。「細かすぎ」と言われそうなものもありますが、それもAMAの醍醐味でしょう。
攻撃側のリスポーン地点の後方には、映画館があります。その外には、私たちの好きなジャンルで架空のアニメ(恋愛モノ、冒険モノ、ロボット・アニメなど)をイメージして作ったポスターが掲げられています。
防衛側リスポーン地点にある4つの般若のようなお面から上に目を向けると、そこには龍に刀を突き立てる鬼の絵が壁一面に描かれています。この絵の鬼はハシモト組を、龍はシマダ一族を表しており、現在抗争中の両勢力の関係性が見て取れます。
「Pylon」と書かれた赤い建物の2階に、「AW」というファッション・ブティックがあります。店頭のディスプレイを見る限り、最新コレクションが入荷したばかりのようです。
攻撃側前方リスポーンエリアの裏側に「Spectral Systems」という小さな電気屋があります。噂によると、ヨーカイのメンバーがたびたびここを訪れるようです…中に入ってみれば、その手がかりが見つかるかもしれません。
防衛側前方リスポーンエリア付近にはかつてキリコの父がいた鍛冶場があり、彼がさまざまな動物の魂を込めた武器を作っていた頃の様子が伺えます。そういった視点から、あらためてこの場所を観察してみるのも面白いかもしれません。私たちがマップを作る際に楽しみにしているのが、こうした小ネタを随所に潜ませることです。もちろん、基本的にはマッチに集中しているプレイヤーがほとんどですが、だからこそ気づいてもらえたときの喜びもひとしおです。
マップの中で、プレイヤーが見落としていそうなディテールはありますか?
Ren:ショッピングモール内のリスポーン地点には「Spectral Systems」という一見何の変哲もない小さな電気屋がありますが、実はここはヨーカイの東京での活動拠点なのです。よく見ると表にはキリコのバイクが停まっており、壁には狐にインスパイアされたグラフィティが描かれています。中でも私のお気に入りポイントが、ノブトが描いたミズキの「快気の笠」とハンゾーのミシック武器「トーキョー・リベリオン」の設計図です。このミシック武器は、ノブトが敏郎と共同でハンゾーの弓を改造するとしたら…という想像をもとに、ミシック・アイテム、ナラティブ、ワールドデザインの担当チームが協力して制作したものです。ハンゾーにとっては、もしかしたらちょっと派手過ぎると感じるデザインかもしれません。
インスピレーションについて
このマップの雰囲気が大好きです!実在する日本の都市をモデルにしたんですか?
Andrew:はい、東京のさまざまな地区を参考にしました。特に渋谷、秋葉原、銀座の街並みからは大きな影響を受けています。
「NEON JUNCTION」のテーマはどうやって決めたんですか?日本を舞台にしようと決めた時にはもう、シオンとミズキのストーリーの土台が出来上がっていたんでしょうか?それと、このマップに目新しい要素を取り入れるうえで、テーマやゲームプレイ的に工夫したことがあれば教えてください
Peter:「NEON JUNCTION」の制作にはさまざまな要因が絡んでいます。いつも新マップを作るときに最初に意識するのが、「プレイヤーが探索していて楽しいのはどんな場所か」ということです。私たちは開発者でありいちプレイヤーでもあるので、どういった場所が刺激的で印象深くなるか考えるのに多くの時間を費やします。
私は、これまでずっと東京を舞台にしたマップを制作したいと考えていました。かつて「HANAMURA」を制作したときは京都の伝統美を表現することを意識していましたが、それとは対照的な現代的で活気あふれる東京をいつか描きたいと思っていたのです。日本という国ひとつをとっても、陰と陽のように対となる場所を登場させれば、その世界観にもより奥行きが出ます。
「HANAMURA」の背後にあるストーリーはシマダ一族を中心としていたこともあり、東京を舞台とするマップは敵対するハシモト組を描くのにまさにうってつけの場所でした。
マップやストーリー、ヒーローは、いずれかが発端となったわけではなく、開発が進む中でそれぞれが影響しあって自然と発展していきました。マップがヒーローの背景に深みを持たせ、ヒーローがマップの中身を充実させるのです。
プレイヤーに私たちの作り上げた世界を探索し、考察してもらえるのはとても嬉しいことです。コミュニティから伝わる興奮は、私たちが今後さらに印象的なマップを作るための励みになります。
Andrew:日本らしく、活気ある未来の東京を表せるテーマを求めていたのですが、そういった面で「シティ・ポップ」はマップ全体に楽しい雰囲気を出すための軸になりました。ストーリーについては開発途中で変わることもありますが、マップの中でハシモト組の存在感をアピールしたいというのは当初から一貫していて、遠くに見える超高層ビルもその一部です。シオンとミズキのストーリーが固まるにつれて、その内容に沿ったディテールをマップに追加して、背景により説得力を持たせていきました。
シティ・ポップの大ファンなので、テーマだって聞いて嬉しいです。このマップにはまさにそんな雰囲気が出てて最高だと思いました。音楽ジャンルをマップで表現するにあたって工夫したポイントと、それがマップを作るうえでどう影響したか知りたいです(これからも頑張ってください!)
Andrew:私にとってもお気に入りのマップの一つなので、気に入ってもらえて嬉しいです。「NEON JUNCTION」では未来の東京を独創的に解釈し、伝統的な要素を前面に押し出した他の日本マップと明確に差別化することを目指していました。
最初はサイバーパンクがコンセプトとして挙がっていましたが、個人的にはいちジャンルとして取り入れるのみにとどめています。というのも、サイバーパンクの特徴である退廃的な未来観は「オーバーウォッチ」が掲げる理想的な未来観とは真逆だったからです。そこで、明るく楽しい日本独自の文化「シティ・ポップ」が浮上しました。
私にとってシティ・ポップは、きらめくネオンや夏の夕暮れ、日本のポップ・カルチャーの歴史を思い出させるものです。そこでこのマップでも、70~90年代にかけて実際に日本で起こったハイテクブームを彷彿とさせるような、新時代の技術革新期にある未来の東京をイメージしました。マップの都市エリアには、当時の技術(カセット再生機器やコントローラーなど)にインスパイアされたビジュアル要素がそこかしこに散りばめられています。
マップ・デザインについて
ハイブリッドのマップにすることは、開発のどの段階で決まったんですか?
Ryan:開発初日です!モード、舞台、ストーリー背景、デザインのコンセプトなどは、エディターを触る前に真っ先に決めなければならないので。
マップ・デザインの方針はここ5年ほどでどう変わったんですか?それと、デザインにあたって「このヒーローはこう動くだろう」というのはある程度イメージしているのでしょうか?
Ryan:チョーク・ポイントのデザイン方針は初代「OW」の頃から変化しています。初期の開発段階において、私たちはゲーム独自の面白さを作るためにチョーク・ポイントをできる限り狭くしていましたが、次第に環境が煮詰まるにつれてその方針を少し見直し、規模を広めたり他にルートを増やすようになりました。しかしながら、東京のかなり狭めのチョーク・ポイントは、これからも私たちのマップデザインの柱であり続けるでしょう。
2番目の質問の答えは「Yes」です。マップをデザインするときは、各ヒーローがそのマップでどういったアクションが取れるかをテストしながら調整を行います。すべてのヒーローですべてのマップを快適にプレイできるのが理想的ですが、一様にそうするのではなく、特定のヒーローが優位に立てるポイントもあえて作るようにしています。こうした調整が偏り過ぎないよう、プレイテストでは慎重にバランスを見ます。
「NEON JUNCTION」の第2チェックポイントは平坦で開けてるので、地べたヒーローが活躍できて楽しいです。フランカーに対処しやすくて、電車が走ってるから高所にスナイパーが居座れないのもいいと思います。この設計はマップの開発当初に決まったんですか?それとも開発途中で思いついたんですか?
Ryan:当初から決めていたものも偶然の産物もありますが、第2チェックポイントについては前者です。電車ホームからの射線は、あらかじめ何かしらの対策が必須であると考えていました。また、ポイント手前の曲がりくねった上り坂と、ポイントへの射線を遮る角の遮蔽物については特に試行錯誤を重ねました。長すぎる射線を作らないよう、道や建物の形状は細かくチェックしています。
このマップのレーン設計についてはどのようなアプローチを取ったんですか?また、攻撃側または防衛側のどちらか一方が位置取りで有利になりすぎないよう意識したことは?
Ryan:私たちは、他のゲームでたびたび採用されている3レーン構造にはこだわっていません。どちらかというと、重要なのはプレイヤーが敵の視界に入る場所とタイミング、そして味方や敵、目標と接触する流れです。マップの広さにもよりますが、エリアの拡張やレーンの追加は、チームが過度にばらけたり、一方だけに有利に働いたり、敵と交戦せずに目標へ行ける近道が生まれたりなど不公平な状況の原因になることがあります。
コミュニティからのフィードバックを受けてマップを調整する予定は?
Ryan:もちろんあります!近日地形を調整予定で、すでに7月1日に配信したアップデートではペイロードの進行速度をわずかに下げ、ゲートとペイロードの動作遅延を増やしています。
不人気のマップから得た教訓を「NEON JUNCTION」に活かしたりしましたか?社内でのプレイテストの結果と、リリース後に実際に大勢のプレイヤーから寄せられたフィードバックはどれくらい違いましたか?
Ryan:各マップのパフォーマンスに差が出る原因を簡単に突き止められればいいのですが、現実はそうもいきません。「OW2」のリリース以降初の新ハイブリッド・マップを開発するにあたって、目新しくもプレイヤーに気に入ってもらえる要素を取り入れたいと考えていました。そういった意味では、昔からあるマップがインスピレーションの種になったと言えるでしょう。
デザイナーにとってプレイテストは最も重要です。リリース時のプレイヤーの評価を予測することはできませんが、多様な意見やプレイスタイルをカバーできるようできる限りの意見を集めています。私たちのチームでは1週間に複数回テストを行います。メンバーのプレイスキルに偏りはありませんが、フィードバックがある1点に集中している時は外の人たちから意見をもらうこともあります。
マップ内のギミックについて
電車が来る条件を教えてください。電車はランダムに来るんでしょうか?
Ren:第1チェックポイントの確保後、電車は14秒ごとに駅から発車し、合計で3.5秒間走行します。
直近で追加された2マップにランダム要素(「ANTARCTIC PENINSULA」の凍結と「NEON JUNCTION」の電車)がありましたが、今後のマップにも同じようなものを実装しようと考えていますか?
Ryan:両マップの環境キル要因に対する評判はかなり良かったので、今後も追加することに意欲的ではありますが、すべての新マップやリワーク・マップに実装することを絶対的な目標にしているわけではありません。
「NEON JUNCTION」では、ハチの巣のある小部屋でハチの巣にダメージを与えると、自分がダメージを受けるギミックがありますよね。あれ、ハチの巣にキルされた時のキル・アイコンがハチだったら面白いと思うんですけど?
Ren:すでにUI/UXチームに催促して、さっそく可愛いハチのアイコンを作ってもらいました。開発環境には反映されており、近日登場します。お楽しみに!
Phil:ハチミツ屋を作るのが楽しくてこのギミックがどう受け取られるかはあまり考えていませんでしたが、結果としていい小ネタになったと思います。アーティスト・チームとVFXチームには感謝です!



