「ドゥームフィストがタロンを取り戻すなら、それは彼が勝ち取ったから」オーバーウォッチ10周年、ゲームディレクターが語るReign of Talonの行方と"目からレーザーを撃っていたトレーサー"の秘話
BlizzCon 2026の会場で、オーバーウォッチのゲームディレクターであるアーロン・ケラー氏と、アソシエイトゲームディレクターのアレック・ドーソン氏がメディアのインタビューに応じました。10年間のハイライト、年間ストーリー「Reign of Talon」の結末を巡るヒント、そして開発初期のトレーサーが目からレーザーを撃っていたという裏話まで、約14分の中に話題が詰まった内容です。本記事では発言をできるだけそのまま拾ってお届けします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出演 | アーロン・ケラー氏(ゲームディレクター)/アレック・ドーソン氏(アソシエイトゲームディレクター) |
| 収録 | BlizzCon 2026 |
| 動画タイトル | Overwatch - More Details On New Hero Doctrine | Blizzcon 2026 Interview |
| 動画URL | https://www.youtube.com/watch?v=RJBAvuK1y2I |
| 主な話題 | 10周年のハイライト、Reign of Talonの反響、二人のメインヒーロー、開発初期のトレーサー、新ヒーローの手応え |
10年間で「魔法がかかった」瞬間 00:15
まず聞かれたのは、10年間の中で最も印象に残っている出来事についてです。ケラー氏は「オーバーウォッチは、正しいことが全部揃ったときに魔法がかかったように感じるゲーム」と前置きしたうえで、いくつかの節目を挙げました。
- 2014年の「Core Combat」マイルストーン:最初の4ヒーローと最初のマップであるテンプル・オブ・アヌビスが揃い、チームが実際にプレイを始めた時点。この段階で既に楽しかったそうです
- 2016年のローンチ:21ヒーローで発売され、「この人たちは何をするヒーローなのか」を世界中のプレイヤーが一斉に学ぶ体験になった。ケラー氏によれば、遊び方が固まるまで半年から1年かかったとのこと
- 2026年の年初:今年10ヒーローの追加を発表し、うち5体をシーズン1で投入。ケラー氏いわく「またリンゴの荷車をひっくり返した」瞬間
特に興味深いのは、その5ヒーロー同時投入の副作用です。ケラー氏は「あの5体が入ったとき、ゲーム内のトキシシティ(暴言などの有害行為)が測定できるレベルで下がった」と明かしました。みんなが新ヒーローを試すことに夢中で、楽しんでいたからだろう、という見立てです。
加えて今年はシーズンごとに新ヒーローを1体リリースする体制になっており、「学ぶことが少し増える」という小さな瞬間を毎シーズン作れる。2027年の頭にはまた大きな仕掛けをやる、と今後の方針も語られました。
「プレイヤーを驚かせ続けられることが本当に大事。プレイヤーからはストーリー性の復活とヒーロー追加を求める声を多く聞いていて、そこには全力で向かっている。ただ同時に、他にどこを押し広げられるか、どこで新しいことができるかも考え続けたい」
インタビュアーが「全員が新しい状況に置かれていれば、誰も他人を見下せないですもんね」と返す場面もありました。
変化を恐れない、という開発姿勢 02:54
新しい進め方で得た予想外の収穫を問われたドーソン氏は、「変化を恐れないこと」を軸に答えています。
ケラー氏はストーリー面から補足しました。今年はオーバーウォッチ初となる年間を通した物語として、ヴェンデッタとドゥームフィストがタロンの支配権を争う「Reign of Talon」を展開中です。ケラー氏は「オーバーウォッチ2の歴史を振り返れば、このゲームの最大の魅力の一つは世界観とキャラクター」と述べ、ゲームプレイで大きく振り切りつつ、ロアの拡張にも戻ってきた今の状態を「全気筒が回っているオーバーウォッチ」と表現しています。
Reign of Talonの反響と、ドゥームフィストの"結末" 04:08
インタビュアーは「久しぶりに、周りのプレイヤーがストーリーの展開を自分の言葉で語っている」と現状を評しました。実際の反響について、ケラー氏が今年一番気に入っている出来事として挙げたのが、ヴェンデッタがドゥームフィストを倒す最初のシネマティックへの反応です。
結末のヒントは「earning it(勝ち取る)」
結末について何かヒントを、という要望に対して、ケラー氏は「ドゥームフィストがそれを勝ち取る(earning it)」という言葉を出しました。
さらに「昨日のシネマティックが良かったと思うなら、次に来るものを待っていてほしい。それが全ての決着で、最後にはタロンを率いる人物が一人だけ立っている」と予告しました。インタビュアーの「楽しみだけど、ちょっと怖い」に対し、ケラー氏は「うれしそうに」笑うだけでした。
二人のプレイ時間と、メインヒーロー 06:32
ここから話題は二人の個人的な履歴に移ります。プレイ時間を聞かれたドーソン氏は「確実に1,000時間は超えている」と回答。インタビュアーが「自分は最後に確認したとき800時間くらい」と返すと、ドーソン氏は、チームは常にプレイテストをしており、その上で多くのメンバーがコンペを回して同僚のプレイ・オブ・ザ・ゲームを見ることになる、と日常を説明しました。「みんながどれだけ気にかけて、どれだけ遊んでいるか。その情熱があるから良いゲームが作れる」とのことです。
ケラー氏は「何時間かは自分でも分からない。2013年から、トレーサーが目からレーザーを撃っていた頃から遊んでいる」と答え、ここで話が脱線します(次のセクション)。
メインヒーローについて 10:24
- ドーソン氏:現在はジュノを多く使用。初めて「このキャラをずっと使いたい」と思ったのはルシオで、流動的な機動力を持つヒーローが出ると「ロックインして学べるだけ学ぶ」タイプとのこと。インタビュアーからは「昔、井戸に落とされ続けたのはあなただったんですね」とツッコミが入りました
- ケラー氏:最初のメインはトレーサーで、「キットがほぼ完璧」と評価。今はフレックスでキューすることが多く、結果的にタンクを担当することが多い。ラインハルト、ウィンストン、ザリア、オリーサを回し、サポートにも入る。たまにダメージに回されるとトレーサーを握るが「昔よりダメージはだいぶ下手になった」と自己申告
インタビュアーも同じ悩みを抱えているそうで、「マーシーとD.Vaが本当に上手くなった。年のせいらしい」と自虐。ケラー氏からは「D.Monが出たとき、フレックスキューでダメージとサポートに入りやすくなったのでは」というやり取りもありました。
トレーサーは目からレーザーを撃っていた 07:23
インタビュアーが「今、目からレーザーって言いました?」と食いついたことで語られた、開発初期の裏話です。
「目からレーザーを撃つヒーローは存在すべき」というインタビュアーの提案に、ドーソン氏は「目からレーザーはかなりカッコいいと思う。何か考えられそう」と乗り気の反応。「ジェットパック・キャットがいるんだから何でもできる」「来年、誰かが目からレーザーを撃っていたら、あなたが功績を主張していい」と、和やかに盛り上がっていました。
ドーソン氏がオーバーウォッチに加わった経緯と、"チーム4"の由来 08:45
ドーソン氏は約4年前、2022年にチームに加わりました。声がかかったときの気持ちを聞かれ、こう振り返っています。
ケラー氏はこの話を知らなかったそうで、「2015年、あの場にいたんだ」と驚いていました。
チーム4とプロジェクト・タイタン
ケラー氏によれば、オーバーウォッチの開発チームは社内で「チーム4」と呼ばれています。理由は単純で、Blizzardで4番目に作られたチームだから。2007〜2008年頃に、当時Blizzardの次期大型MMOになるはずだった「プロジェクト・タイタン」のために結成され、その後メンバーの多くがオーバーウォッチの開発へ移りました。トレーサーやリーパーなど、現在のゲームにあるデザインの一部はタイタン時代のものが元になっているとのことで、ケラー氏自身もその初期タイタンチームの一員だったそうです。
「これは上手くいった」と感じた新ヒーロー 12:12
最近の新ヒーローの中で、ファンの反応が良かった、あるいは個人的に手応えがあったのは誰か。二人の答えは一部重なりました。
ドクトリン(ドーソン氏・ケラー氏の両方)
ドーソン氏は、まだ触れていなかったビジュアルの原型としてテクノ・ヴァンパイアを持ってきて、ドローンのゲームプレイと合わせてオーバーウォッチ版に仕上げた点を「いろいろな要素が完璧に重なったサンドイッチのようなヒーロー」と評価。ケラー氏も「バックストーリー、見た目、ゲームプレイの組み合わせがヴァンパイアの幻想をしっかり支えている」と同意しています。
シオン(ドーソン氏)
ドーソン氏が個人的に一番入れ込んだのはシオンです。「最初からアクション映画をベースにしようと決めていて、空中からバイクを蹴り飛ばさないといけない、と。このヒーローはやりすぎるくらいやろうと」。結果として悪役らしい個性が備わり、それがプレイヤーに刺さったと見ています。
エムレ(ケラー氏)
ケラー氏はドクトリン以外で一人挙げるなら、とエムレを選びました。理由はメイン射撃の感触です。
インタビュアーも「シューターを遊んだことがある人なら誰でもすぐ握れる。触った瞬間に気持ちいいと分かる」と全面同意していました。
まとめ
10周年の節目に語られたのは、2014年の4ヒーロー時代から2026年のシーズン1まで、「新しいものを学ぶ瞬間」を意図的に作り続けているという開発側の考え方でした。5ヒーロー同時投入でトキシシティが測定できるレベルで下がったという話は、単なる裏話以上に、今後のヒーロー追加ペースの根拠として重みのある証言です。年初の大型投入、シーズンごとの1体追加、そして2027年頭の再びの大型仕掛けというサイクルは、当面続くと見てよさそうです。
Reign of Talonについては、ケラー氏の「ドゥームフィストが勝ち取る」という言葉と、「最後に立っているのは一人だけ」という予告が最大の収穫でしょう。ヴェンデッタに敗れた最初のシネマティックへの反発を、開発側は狙い通りと受け止めているようです。なお、インタビューの締めで、次のシーズン5は10月6日開始とアナウンスされています。恒例となった「Netflixアニメシリーズの話」は今回も時間切れでしたが、インタビュアーいわく「近づいている気がする」とのことでした。