D.Mon開発者インタビュー-剣と盾のメカファンタジー、D.Vaとの差別化、そして「氷の女王」の人物像

esports.ggが、シーズン4で参戦する新タンクヒーローD.Monについて開発チームTeam4にインタビューを実施しました。リードヒーロープロデューサーのKenny Hudson、ナラティブデザイナーのEleni Rivera、リードコンセプトアーティストのDaryl Tanが、能力設計から人物像まで語った内容を紹介します。

内容まとめ

  • D.Monは近接タンクとして参戦、剣と盾のシルエットでタンクと一目で分かる設計
  • ガンダムやアーマード・コアからインスピレーションを得たメカ設計
  • 当初は銃がメイン武器だったが、剣メインに変更してキットが完成
  • 性格は「氷の女王」、D.Vaとは親友でありeスポーツ出身という共通点

なぜタンクなのか

D.Monがタンクとして参戦する理由について、Hudsonはシルエットの視認性を挙げています。メカは他のヒーローより大きいため、メカサイズのヒーローをサポートにすると、試合中にロールを瞬時に判別しづらくなるとのことです。

「D.Monに関しては、タンクであることが非常に理にかなっていました。特に剣と盾の古いコンセプトアートを見れば、一目でタンクだと分かるはずです。」(Hudson)

D.Vaの技術的課題を教訓に

開発面では、D.Vaで直面した技術的課題を学びとして活かしたことが明かされました。

「D.Vaは3つの異なるメッシュでできています。パイロットとメカの合体形態、パイロット形態、そしてメカ単体です。これらのアセットは制作にも修正にも長い時間がかかります。D.Monは実際には1つのエンティティ、1つのメッシュなんです。パイロットとメカがありますが、くっつけている形です。これは大きな飛躍でした。アニメーションは倍必要になりましたが、全体としてD.Monの制作・修正・将来のアセット提供がずっと楽になります。」(Hudson)

ガンダムとアーマード・コアの融合

D.Monのキットはガンダムやアーマード・コアといったメカ作品からインスピレーションを得ています。水平方向のムーブメント、メカの操作感、機関銃などにその影響が表れているとのことです。

「チームにはメカオタクがたくさんいます。キットを設計したゲームプレイデザイナーのAndreは大のアーマード・コアファンで、私はガンダムファン。どこからインスピレーションを引っ張るかで常にぶつかり合っていました。剣はガンダム関連をたくさん見た結果で、水平スライド移動はアーマード・コア由来です。」(Hudson)

D.Vaとは異なるリメック演出

TanはD.Monのリメックアニメーションについて、D.Vaとの差別化を強調しました。

「D.Vaは空からメカを呼んで叩きつけますが、D.Monはアーマーピースが飛んできて彼女の体の周りに組み上がります。メカに乗り込むのではなく、スーツが彼女の周りに装着されていくファンタジーです。挑戦的でしたが、とても楽しく制作できました。」(Tan)

D.Monの能力

  • プラズマ・セイバー(メイン武器) - 1ヒット60ダメージ、射程約5.5メートルの近接剣
  • フュージョン・リピーター - 短いバーストの正確な遠距離攻撃
  • サージング・ストライク - 盾を構えながらメイン攻撃で発動するシールドバッシュ。ノックバック付き
  • ジェット・ドライブ - 燃料ベースの高速移動
  • パイロット形態 - メカからFusion Repeaterを取り外して射撃可能
  • メック召喚 - ダメージ+ノックバック付きの再メカ
  • リミット・ブレイク(アルティメット) - 剣をチャージして敵に斬撃。ゼニヤッタの不和のオーブのようなデバフを付与し、自身はオーバーヘルスを獲得

「彼女はラッシュ構成と非常に相性がいいです。サポートにルシオがいればすごいことになりますよ。リミット・ブレイクのデバフを敵の集団に付与できれば、チームを完全に破壊します。」(Hudson)

ボツになった初期案

開発過程では、剣と銃の役割が現在と逆だったことも明かされました。

「D.Monの剣と銃は実は逆でした。剣はクールダウン制で、ボタンアビリティとしての剣振りを自然に感じさせるのに問題がありました。剣を持ちながら銃をメインに使うのも不自然で、個々の要素は良いのにキットとしては何かズレていた。入れ替えた途端、キットが一気に生き生きとしました。」(Hudson)

人物像は「氷の女王」、趣味はガンプラ

戦闘外のD.Monは、部屋でガンダムのモデルを組み立てるのが趣味という一面を持ちます。Riveraは彼女を「手元だけを映すストリーマー」に例え、プレーで語るタイプだと説明。落ち着きを持った「アンタッチャブルでクールな氷の女王」として、D.Vaとの明確な差別化が図られています。

「彼女はすでにロアに存在していました。課題は新キャラを作ることではなく、彼女をどう膨らませてダイナミックにするか、そしてD.Vaとどう差別化するかでした。彼女は品位を持って振る舞います。あなたを黙らせることはできるけど、コメントのためのコメントはしない。自分の道を行き、物事にこだわりを持つタイプです。」(Rivera)

D.Vaとは親友同士

D.MonはD.Vaと同じくeスポーツ界の出身で、2人は親友(besties)だと語られています。

「2人ともえスポーツのチャンピオンリーグ出身ですが、明確に区別したかった。2種類のゲーマーを考えたんです。IGL(インゲームリーダー)タイプと、『自分はサポートに徹する』『タンクをやる』というタイプ。それがYunaとHanaの差別化の方向性でした。でも2人は親友で、お互いを支え合っています。『D.Va2.0』ではなく、彼女自身のモチベーションや悲しみを持った、独立したヒーローとして感じてほしいのです。」(Rivera)

一方、ジャンカーズとの関係は良好とは言えず、ヴェンデッタがジャンカーズを釜山攻撃に送り込んだ経緯から、今後様々なキャラクターとの関係性が描かれていくことが示唆されました。

MEKA部隊の各メンバーの掘り下げや、シネマティックでは出番の少なかったハモンド(レッキング・ボール)のストーリー登場にも期待が寄せられています。

和訳全文

オーバーウォッチ2:新ヒーロー「D.Mon」徹底インタビュー!開発チームに聞くその正体とは?

「D.Mon(ディーモン)」について、Team 4(開発チーム)にすべてを語ってもらいました!

オーバーウォッチのシーズン4にて、近接型タンクヒーローとして参戦するD.Mon。その開幕を前に、esports.ggはリード・ヒーロープロデューサーのケニー・ハドソン氏、ナラティブデザイナーのエレニ・リベラ氏、そしてリード・コンセプトアーティストのダリル・タン氏にインタビューを行い、D.Monのアビリティ、外見、性格、D.Vaとの関係など、気になるポイントを詳しく伺いました。

■なぜD.Monはシーズン4に「タンク」として参戦するのか
オーバーウォッチの世界において、D.Monは「MEKA部隊」の一員であり、その存在は長年設定として語られてきました。なぜこのシーズン4というタイミングでプレイアブル化が決まったのかという問いに対し、ハドソン氏は「物語の舞台が釜山(プサン)に戻ってきたことが、彼女をゲームに登場させる絶好の機会となった」と語りました。

また、ダメージやサポートではなく、あえてタンクというロールを選んだ理由についても言及。オーバーウォッチは「シルエット」による判別を重視するゲームです。メックは当然他のヒーローより大きいため、メックサイズのヒーローをサポートにしてしまうと、対戦中に瞬時にロールを判別するのが難しくなります。

「D.Monに関しては、タンクであることに非常に説得力がありました」とハドソン氏。「特に剣と盾を持っている初期のコンセプトアートを見れば、一目でタンクだと分かりますからね」

さらにD.Monの開発にあたっては、D.Vaの制作時に直面した技術的な課題を教訓として活かしたといいます。

「D.Vaの場合、パイロットとメックが一緒の状態、パイロットのみの状態、そしてメックのみの状態という、3つの異なる3Dモデル(メッシュ)で構成されています」とハドソン氏は説明します。これらは制作に時間がかかるだけでなく、何か不具合が起きた際の修正も大変です。「単なるコピー&ペーストで済む話ではありません。対してD.Monは、パイロットとメックが分かれてはいますが、実際には一つのモデルとして結合されています。これは大きな進化でした。アニメーションの作業量は倍増しましたが、結果としてD.Monの制作や修正、今後のアセット提供がチーム全体にとって格段にスムーズになりました」

■D.Monが体現する「メカ・ファンタジー」
ヒーロー紹介トレーラーでも示唆されていた通り、最終的なアビリティ構成には剣と盾が採用されました。ハドソン氏によれば、D.Monは「剣と盾(ソード&ボード)」というファンタジーを体現しており、Team 4のメカ愛が色濃く反映されているとのこと。アビリティは『ガンダム』や『アーマード・コア』といったシリーズからインスピレーションを得ており、水平方向の移動やメックの操作感、フュージョン・リピーター(射撃武器)などにその影響が見て取れます。

「チームにはメカオタクがたくさんいます」と彼は笑います。「キットを設計したゲームプレイ・デザイナーのアンドレは大の『アーマード・コア』ファンで、私は『ガンダム』ファンです。そのため、どの要素をどこから引用するかで常に意見を戦わせていました。剣はおそらくガンダムの影響が強いですし、水平方向のスライド移動はアーマード・コアから着想を得たものです」

■「再搭乗」へのこだわり:D.Vaとの違い
チームがプレイヤーに特に注目してほしいポイントとして、タン氏はユニークな「メック召喚」のアニメーションを挙げました。D.Monの再搭乗シーンは、D.Vaとは異なるコンセプトで設計されています。D.Vaが空から降ってきたメックに乗り込んで敵を押し潰すのに対し、D.Monはバラバラの装甲パーツが彼女の体に飛んできて、その場で組み上がっていくという演出になっています。

「D.Monにはこだわりのポイントが山ほどありますが、個人的に気に入っているのは再搭乗の演出です。D.Vaとの差別化を図るため、着地と同時にすべての装甲パーツが彼女の体にガシャンと装着される形にしました」とタン氏は語ります。

「目標はD.Vaとは明確に違うものにすることでした。D.Vaは空から降らせて敵にぶつけますが、D.Monは視覚的にも体験としても別のアプローチを取りたかったのです。彼女がメックの中に入るのではなく、スーツが彼女の周りで組み上がっていくというファンタジーは、作っていて非常に楽しかったです。難易度は高かったですが、やりがいのある仕事でした」

また、タン氏とハドソン氏は、視覚効果(VFX)やサウンドデザイン、さらにはパイロットがメックとどう連動しているかといった細部にも注目してほしいと話します。

「このヒーローの開発において私たちが誇りに思っているのは、細部への徹底したこだわりです。VFXやサウンドなど、チームが彼女を特別な存在にするために注いだ情熱が伝わることを願っています。最初のコンセプトアートを見たときから期待値が高かっただけに、原作の設定を忠実に守りつつ進化させるのは至難の業でした」とハドソン氏。

タン氏もこう付け加えます。「メックの操作画面(インターフェース)との連動も、かなり時間をかけて作り込みました。アニメーターのステブンは、彼女の立ち居振る舞いや、エクソスーツを着用してアクションを行う姿に説得力を持たせる素晴らしいポージングをしてくれました。これは私たちが影響を受けたメカアニメへのオマージュでもあります。コクピットの中では腕を完全には伸ばせませんが、操縦桿を通じた動きは伝わっている。パイロットが特定の筋肉を動かして高度な操縦を行う、あの独特の感覚を再現したかったのです」

■D.Monのアビリティとアルティメット
D.Monのアビリティ構成についても詳しく見ていきましょう。メイン武器は「プラズマ・セイバー」で、1ヒットにつき60ダメージを与え、射程は約5.5メートル。アビリティの「フュージョン・リピーター(Eキー)」は、精度が高い遠距離のバースト射撃を行います。また、盾を構えながらメイン攻撃ボタンを押すと、ノックバック効果のある盾攻撃「サージング・ストライク」を繰り出せます。さらに、燃料を消費するダッシュ移動も可能です。

D.Vaと同様にD.Monにもパイロット形態があり、メックから外したフュージョン・リピーターで応戦できます。前述の「メック召喚」は敵にダメージとノックバックを与えます。アルティメットの「リミット・ブレイク」は、剣にエネルギーをチャージし、攻撃した敵にゼニヤッタの「不和のオーブ」のようなデバフを付与します。さらに、発動時にはD.Mon自身にオーバーヘルスが付与されます。

「彼女はラッシュ構成(突撃型の編成)と非常に相性が良いです」とハドソン氏。「サポートにルシオがいれば、かなり面白い展開になるでしょう。リミット・ブレイクで敵集団にデバフをかければ、チームを一気に壊滅させることも可能です。前線を維持しながらアルティメットを叩き込む、非常に強力な立ち回りが期待できます」

■ボツになったアイデア
開発の過程では、剣と銃の役割について試行錯誤がありました。当初は銃がメイン武器で、剣はクールタイム制のアビリティでした。しかし、これではタンクらしさが損なわれてしまったとハドソン氏は説明します。また、剣の攻撃がクールタイムに縛られるのも不自然に感じられました。そこで武器の役割を入れ替え、剣をメイン攻撃に据えたところ、キャラクターとしてのまとまりが一気に良くなったそうです。

「以前は剣と銃が逆だったんです。剣がアビリティ扱いで、盾とのタイミングや攻撃の繋がりがどうもしっくりきませんでした。剣を持っているのに銃がメインなのも違和感がありました。個々の要素は良くても、セットにすると何かがズレていたんです。しかし、それらを入れ替えた瞬間、キットに命が吹き込まれました」

■私生活:自室でガンプラを作る一面も
戦闘以外のD.Monは、自室でプラモデルを組み立てたり機械をいじったりするのが好きなガンダムファンです。また、リベラ氏によれば、彼女は「プレイで語るタイプ」であり、カメラに顔を出さず手元の操作だけを見せて戦うストリーマーのような性格だといいます。リベラ氏は彼女を、常に沈着冷静な「アイスクイーン」と表現し、それがD.Vaとの大きな違いになっています。

「彼女はガンダムの大ファンで、部屋にこもって組み立てたり、改造したりするのが好きなんです。ゲーマーらしい負けず嫌いな一面もありますが、顔出し配信をするD.Vaに対し、彼女は『手元動画』だけで勝負するようなストリーマーですね。自分のプレイの質だけを見せればいい、と考えているんです」とリベラ氏。

「彼女はすでに設定が存在するキャラだったので、課題はゼロから作ることではなく、いかに深掘りして多面的な魅力を引き出すか、そしてD.Vaとの差別化をどう図るかでした。彼女は非常に冷静で、凛とした佇まいをしています。いわば『近寄りがたいクールな氷の女王』。言うべきことはハッキリ言いますが、無駄口は叩きません。自分の美学をしっかり持っているタイプですね」

■D.Vaとは「親友」の関係
設定面では、D.Vaと同様にeスポーツの世界の出身であり、二人は親友同士です。

「性格付けにおいて重要だったのは、二人が同じeスポーツリーグのチャンピオンだったという共通点です。ゲームが二人の根幹にありますが、タイプは明確に分けたいと考えました。例えば、司令塔タイプと、それを支えるサポートやタンクの役割を好むタイプというように。ハナ(D.Va)とユナ(D.Mon)の関係も、そうしたゲーマーとしての違いを意識しました」

「とはいえ、二人は親友です。お互いを知り尽くし、背中を預け合っています。D.Vaのコピー(D.Va 2.0)だと思われないよう、彼女自身の動機や苦悩を持った独立したヒーローとして描くのは良い挑戦でした」

一方で、D.Monと折り合いが悪そうなのがジャンカーたちです。「彼女には言いたいことがたくさんあるようです」とリベラ氏は言います。「ベンデッタが釜山を襲わせた件もありますし、今後のストーリーで彼女と他のキャラクター、特にジャンカーたちとの間に生まれるダイナミクスには注目してください」

さらにリベラ氏は、「MEKA部隊のメンバーそれぞれの個性を掘り下げられたことが嬉しいですし、ハモンド(レッキング・ボール)が物語に関わってくるのも楽しみです。シネマティックであまり見かけない彼が、ストーリーを通じてみんなと関わる姿は新鮮で面白いものになるはずです」と締めくくりました。

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