ネコの開発裏話が公開

本日公式ブログが更新されました。

内容まとめ

・新ヒーロー「ジェットパック・キャット(フィーカ)」の開発経緯を振り返る内容

・フィーカは「癒し」と「恐怖」を同時に与える、バックライン破壊型の空飛ぶネコヒーロー

・コンセプト自体は10年以上前、未発表ゲーム「Titan」開発時代から存在していた

・コミュニティでは長年「いつ実装されるのか」と期待され続けてきた存在

・シーズン1の「新ヒーロー複数同時デビュー」構想の中で実装がほぼ確定

・ダークでシリアスな新ストーリーに対し、ユーモア枠として“最後の目玉”に選ばれた

・実装にあたり、開発チーム各部門が連携して制作を進行

・最大のビジュアル課題は「ジェットパック・キャットをどう可愛く見せるか」

・ヒーローデザイン班は要素の取捨選択で“OWらしい可愛さ”を成立させた

・コンセプトアーティストのボビー・キムは、猫用おもちゃなどを参考にジェットパックを設計

・ジェットパックはブリギッテ製という設定に沿い、OW世界観に馴染む外観を重視

・ネコ特有の肩構造の問題を、3Dモデル側で可動性を持たせて解決

・瞳孔を大きめに調整し、可愛さとOWらしさを両立(選択画面では猫らしい瞳も表現)

・ゲームプレイ面では、ネコの習性を反映したアビリティ設計を採用

・テザー能力〈ライフライン〉は、猫が紐にじゃれる姿から着想を得ている

・回復能力〈ゴロゴロ〉は、猫の喉鳴らしによるリラックス効果がモチーフ

・最初に実装が決まった要素は「常時飛行能力」で、OW初の試みだった

・常時飛行により、四足歩行アニメーションを作らずに済み、開発負担も軽減

・ライフラインは元々「2シーターの乗り物を主軸とするヒーロー」向けに考案された能力

・「一方が移動、もう一方が射撃を担当する」タッグ型アビリティを転用して誕生

・タンクを吊り上げた際の速度低下など、体格差を考慮した細かな調整が必要だった

・初期案のアルティメットは弾速低下系だったが、サーバー負荷問題で没に

・ヒーローサイズやダッシュ速度も、命中しづらさとのバランス調整が難航

・部門横断の密な連携とスケジュール再編により、完成度を高めることができた

・常時飛行の強さを抑えるため、近距離特化・制限付きアビリティなど弱点を意図的に設計

・フィーカは「攻撃」と「回復」を同等にこなすことを想定したヒーロー

・奇襲役にも回復要員にもなれる、柔軟な立ち回りが前提のデザイン

・競技性を保ちつつ、新しい遊び方を提供する存在として実装された

管理人
開発者ブログの内容は下記より

1週間を振り返る:ジェットパック・キャット、実装までの軌跡

フィールドの空を横切る謎の影…あれは鳥だ、飛行機だ、いや、ジェット付きのネコだ――「OW」で話題沸騰中の新ヒーロー「ジェットパック・キャット」を皆さんはもうゲーム内で体験しましたか?「気に入って、自分のヒーローとしてプレイしている」という人はもちろんのこと「その姿を目にするだけでバックライン崩壊の光景がフラッシュバックする」という人もいるかもしれません。

今回の「1週間を振り返る」では、デビュー直後から癒しと恐怖を振りまくそんな「空飛ぶネコ」のデザインと開発を特集したいと思います。コンセプトだけが取りざたされてきた存在がいかにして、現在の「フィーカ」として結実するに至ったのか…その詳細をご紹介しましょう。

発案からモデル作りまで

「OW」を現在のシーズン1からプレイし始めたという方は特に驚くかもしれませんが、フィーカのコンセプト自体は10年以上前、具体的には「オーバーウォッチ」の原型となった未発表ゲーム「Titan」の開発が進められていた頃から存在しており、「OW」コミュニティの間では以前から「ジェットパック・キャットをいつ実装するのか」という声が多くあがっていました。

フィーカの実装は、シーズン1の目玉である「新ヒーローの複数同時デビュー」が計画された時点で、ほぼ確定していたと言ってもいいでしょう。ダーク&シリアス路線の新ストーリーと密接にリンクした新ヒーローだけでなく、思わずクスリとして、どこか浮世離れしたヒーローが欲しい…面白要素を十分に兼ね備えた「シーズン1最後の目玉」として候補に挙がったのが、「Titan」時代から温められてきたジェットパック・キャットだったわけです。

フィーカの実装にあたっては、「OW」開発チームの各部門が力を合わせました。ビジュアル面で特に大きなチャレンジだったのが「いかにジェットパック・キャットを可愛く見せるか」というもの。ディオン・ロジャーズらヒーロー・デザインのチームは、フィーカのさまざまな要素を工夫することで、この課題をクリアしました。

もちろん、「可愛らしさ」に関連した課題だけではなく、親近感あふれるビジュアルをいかに作るかという悩みも存在しました。このチャレンジに立ち向かったのは、コンセプト・アーティストのボビー・キム。彼はプロデューサーやモデラーと共同で複数のジェットパックのデザインにあたったほか、ペット・ショップでよく売られているようなネコ向けの光るオモチャを参考に、遊び心を持ちつつもプレイヤーが納得するようなジェットパックのコンソールを作りました。

課題と言えば、ジェットパックの外観もその1つでしょう。ストーリー上ではブリギッテがフィーカのジェットパックを開発しましたが、この設定どおり「OW」の世界観にフィットして、見ただけで「オーバーウォッチの装備品」と認識できるようなフレームや武装ユニットを作り上げることも重要でした。

これらビジュアル要素をゲーム内へと自然にかつ納得のいく描写で溶け込ませるのも、デザイン・チームの悩みどころにして腕の見せどころ。ネコの肩は内向きで、外側へと広げづらい構造をしているため、ネコのジェットパックとの相性は人間やゴリラよりも良くありません。そこで3Dモデルでは、フィーカの肩を実際よりも若干フレキシブルにすることで、ジェットパックのコックピットとの相性を改善。同様にフィーカの瞳も、瞳孔をやや大きめにすることで、ネコらしさや「OW」との親和性を保ちつつ、より可愛らしいものへと変えました(ちなみにヒーロー選択画面では、ネコらしいシャープな瞳孔を見せる時もあります)。

アビリティの開発

ジェットパック・キャットはもともとミームで彩られたヒーローだから…というわけではありませんが、フィーカのゲームプレイにはネコの要素や習性(周囲をやりたい放題に荒らすネコの描写を含む)がたくさん取り入れられました。たとえば、これまでの「OW」にないゲームプレイ要素として話題を呼んだ〈ライフライン〉のテザー能力は、開発陣のペットが実際に夢中になっている紐類から着想を得たものですし、〈ゴロゴロ〉の回復能力もその名のとおり、心拍数の調整や自己治癒の効果があると言われているネコの喉鳴らしを参考にしています。

ちなみに、フィーカのゲームプレイ要素として真っ先に取り入れられたのは、常時飛行の能力でした。これまで無限に飛行できるヒーローが「OW」にいなかったこともあり、この要素の実装は至難の業。ですが、それは裏を返せば「OW」のゲームプレイの可能性を広げる契機でもありました。また、常時飛行のメリットはアニメーション面にもあります。たとえば、ファラのように飛行も歩行もできるヒーローの場合、その両方のアニメーションが必要になりますが、飛行状態を常に保てるのであれば、歩行の方は不要になります。特にフィーカはネコなので、歩くとなれば四足歩行が前提。過去に前例のない未知のアニメーションに頭を悩ませる必要がなくなるので、アニメーション担当者の負担軽減に繋がります。

常時飛行の次に取り入れられたのが、先ほども言及した〈ライフライン〉です。このアビリティはもともと、2シーターの乗り物を主軸とするヒーロー向けに開発されていた「タッグを組んだプレイヤーの一方が移動を担当し、もう一方が射撃を担当する」というアビリティを転用する形で誕生しました(Blizzardのゲームがお好きな人であれば、「Heroes of the Storm」のキャラクター「Cho'Gall」のゲームプレイと言えば、想像しやすくなるでしょうか)。

〈ライフライン〉の動作は、牽引時の移動スピードと紐の長さをポンと決めれば終わり…というわけにはいかず、「他のロールよりも重量のあるタンクヒーローを吊り上げたときは移動を遅めにする」、「マウガとトレーサーのように体格が極端に異なっても連結が自然に見えるよう、テザーのアニメーションや連結ポイントをヒーロー別に調整または作成する」といった具合に、状況に応じて挙動を自然かつフェアにする必要がありました。

チームの尽力もあってゲームプレイ面のさまざまな要素がブラッシュアップされていきましたが、フィーカに要求された要素は上記に留まりません。

たとえば、当初予定されていたフィーカのアルティメットは「向かってくる投射物の弾速を遅くする」というものでしたが、両チームのフィーカがこのアビリティを同時に発動すると、弾どころかサーバー全体が遅くなってしまうという問題が見つかったため、このアイデアは没になりました。

フィーカのサイズもチームの悩みどころでした。もし体格が大きすぎれば、ネコとして自然に見えにくくなるうえ、他のヒーローと比べたときに浮いてしまう…かといって本当の子猫並みにコンパクトにしてしまえば、ヒットボックスが小さくなりすぎて撃墜が困難になってしまいます。「墜としにくさ」という意味では、〈ワイルド・フライト〉のダッシュ速度も忘れてはなりません。速すぎれば、交戦相手が弾をヒットさせづらくなりますし、遅すぎれば、フィーカのゲームプレイ全体に支障が出てしまいます。

従来のヒーローと一線を画するフィーカを「OW」のラインナップへと自然に溶け込ませるのは、時として針に糸を通すくらいに困難な作業でしたが、チーム内のコミュニケーションをより綿密にし、各要素のコンセプトを明確にすることで、私たちはこうした課題をクリアしていきました。ミーティングは週に1回程度、作業は部門ごとに分担、プレイテストを経てから次のミーティングに…という従来の開発スケジュールであれば、ここまでのブラッシュアップは不可能だったかもしれません。幸いにも、シーズン1のコンテンツを開発するにあたり、作業効率がもっと上がるようスケジュールを再編したので、その分、対話と共同分析を含む部門間のコラボレーションがより綿密になり、皆さんが今見ているフィーカの実装までこぎつけることができました。

バランスを確保するために

常時飛行できるヒーローを「OW」に導入したことで生まれるであろうリスクはチームも承知しています。今後、状況に応じてバランス調整をさらに加える予定ですが、フィーカがラスボス級の強さを発揮しないよう、そのアビリティを含むベース・キットに開発段階でまんべんなく安全対策を施していることだけは、ここで強調しておきましょう。

基本的にフィーカの攻撃・回復手段は、近距離にて効果を発揮するもので構成されています。メイン武器は投射物かつ減衰付き。〈ゴロゴロ〉の効果範囲も比較的狭いので、常にチームと行動を共にするようなゲームプレイが求められます。ゲームプレイに新たな風を吹き込むであろう〈ライフライン〉にも「牽引中は別アビリティを含む大半の攻撃・回復手段が制限される」という制約が付いているので、仲間を吊り上げた際には、相応のリスクを考える必要があるでしょう。つまり「LIJIANG TOWER」の上空でキャンピングしたり、バスティオンを振り回したりするだけで相当な効果が生まれないよう、フィーカの武器やアビリティには意図的な弱点が付けられているというわけです。

ちなみに、これはフィーカ開発時にストライク・チームによって掲げられた大目標の1つでもありますが、フィーカのゲームプレイは「攻撃」と「回復」という2つの役割の比重がイコールになるように設計されています。奇襲で敵陣をかき回すもよし、回復要員としてチームの命綱になるもよし…どちらも私たちが想定しているゲームプレイなので、フィーカを選んだあるいは選ばれた際には、臨機応変に立ち回りを変えてみると、もっとプレイが面白くなるかもしれません。「OW」の高い競技性はそのままに、ゲームとしての面白さをさらに増やすべくデビューしたフィーカことジェットパック・キャット。この新ヒーローをプレイしているという人も、まだという人も、楽しさに満ちた新感覚のゲームプレイをぜひ研究してみてください。

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